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浜離宮朝日ホール:パヴェル・ハース弦楽四重奏団の名演 [音楽時評]

11月14日,浜離宮朝日ホールに,パヴェル・ハース弦楽四重奏団を聴きに行ってきました.
どうも今年は外来クァルテットの当たり年で,パヴェル・ハースはチェコからの来日ですが,11月1日には同じチェコから大御所のパノハ弦楽四重奏団がこの朝日ホールで,スメタナの「わが生涯より」とシューベルトの「ロザムンデ」を演奏したばかりなのです.(私は,当日,武蔵野にエベーヌ・クァルテットを聴きに行っていました.)

それもあって,若手でグラモフォン大賞を受けて一気にトップに躍り出たパヴェル・ハース弦楽四重奏団は,凄い名曲コンサートをやってくれました.

メンバーは,
第1Violin; ベロニカ・ヤルツコヴァ
第2Violin:  エヴァ・カロヴァ
Viola:        パヴェル・ニクル
Cello:    ベテル・ヤルシェク
ですが,ベロニカとベテルは夫妻で,ベテルは元シュカンパ・クァルテットの団員から,夫妻で弦の国チェコならではの人材を集めて,次世代の新しいクァルテットを創設したモノです.

プログラムは,先に触れた事情もあって,
パヴェル・ハース: 弦楽四重奏曲 第1番 嬰ハ短調 op.3(1920)
ドヴォルザーク:   弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 op.96 「アメリカ」
        ※※※※※※※※
シューベルト:    弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D.810 「死と乙女」
でした.

私は先日エベーヌ・クァルテットをブログで賞賛しましたが,それと同等以上の賛辞をこのパヴェル・ハースにも贈りたいと思います,

最初のパヴェル・ハースの作品は1楽章の短い作品でしたが,ヤナーチェクの弟子であった作曲家で,どこかヤナーチェクを彷彿させる作品でした,この作曲家の名を冠したクァルテットとして,彼の作品は良く取り上げているようです.

「アメリカ」では素晴らしい名演を披露してくれました.
このクァルテットの特徴は,何よりも息の合った一糸乱れぬアンサンブルと,それを支えにして,他のクァルテットに例を見ないほど幅広くとったダイナミック・レンジを使って,エネルギッシュな躍動感に満ちた演奏を繰り広げ,まことに新鮮で清々しい音楽を聴かせるところにあります.
その源泉は,実に正確な技巧に優れた第1ヴァイオリンとチェロにあります.この2人が息のあった高音と低音を響かせて,第2ヴァイオリンとヴィオラを上下からしっかりと支えて,実に見事なアンサンブルを聴かせてくれました.

「死と乙女」も素晴らしかったのですが,オーストリア・モノでちょっと気になったのは,張り切りすぎていたのか,一杯の音量を響かせる躍動感とそれを絞り込んで叙情性豊かに弾く部分とが繰り返し展開されて,もう少し中間部で豊かな情感をたっぷり聴かせて欲しくなったことです.

しかし,全体としては,あれほど完璧な第1ヴァイオリンとチェロを持ったクァルテットは希に見る存在だと思いますから,今後のレコーディング(ダウンロードで安価に手に入る形のモノ)に大いに期待したいと思いますし,ぜひ,来年も再来日して欲しいモノです.

それにしても,この満席だと特に素晴らしい音響の朝日ホールで,聴衆の入りが70~80%に止まったのは,たいへん残念でした.

 

 


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