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サントリーホール:都響B定期,ボージチ指揮,F.ケンプ(pf) [音楽時評]

11月10日,サントリーホールに東京都交響楽団B定期を聴きに行ってきました.
指揮のオーストリア出身のウオルフガング・ボージチは,2011年までハノーファー州立歌劇場総監督だった人で,日本にもオペラの指揮で来日歴があります.
イギリス出身のピアニスト,フレディ・ケンプは幅広いレパートリーで知られた人です.

本日のプログラムは,
モーツアルト:  ピアノ協奏曲23番 イ長調 K.488  ケンプが協演
       ※※※※※※※※
R. シュトラウス: 家庭交響曲 作品53
でした.

モーツアルトの23番は,クラリネットがオーケストラに初めて登場した曲で,反面でオーボエ,トランペット,ティンパニーが除かれています.それだけ全体に優美な曲です.また,特徴的なこととして,カデンツァは第1楽章に限り,モーツアルト自身が作曲していることです.
第1楽章 アレグロ イ長調 4分の4拍子は 型どおりの古典派の協奏ソナタ形式で,オーケストラが提示した主題をピアノり返す明快な形式ですが,展開部では、提示部の主題ではなく新しく導入した主題が使われています.
第2楽章 アダージョ 嬰ヘ短調 8分の6拍子は,3部形式で,モーツァルトには珍しいメランコリックな嬰ヘ短調がとられていますが、イ長調に移って、慰めるような静かな旋律が歌われます.
第3楽章 アレグロ・アッサイ イ長調 2分の2拍子 ロンド形式では,一瞬,木管がホ短調の動機を導入しますが,全体として明るい響きが基調になっています.

ケンプは,アンコールにベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴ソナタ」の第2楽章,緩徐楽章を切々と弾いてくれました.

後半の「家庭交響曲」は,表題が余り好まれず,アルプス交響曲に較べて演奏機会が少なかったのですが,音楽内容が優れていることから,次第に見直されてきています.
この曲はシュトラウス自身の家庭の様子を曲にしたとも言われており,曲は切れ目なく演奏されますが、全体を4部に分けることができます.
第1部で「父親」主題Iヘ長調(ゆっくち,のんびり,夢見るように),「母親」主題IIロ長調(極めて活発に),「子供」主題IIIニ短調が提示されます.叔父と叔母も登場しますが,切れ目なく,第2部に入ります.そこでは3つの主題のスケルツオ風の展開で,

この曲はシュトラウス自身の家庭の様子を曲にしたとも言われている。曲は切れ目無く演奏されるが、4部に分けることができる。
第1部では最初に、家庭の主人の主題が提示される。発想記号にgemächlich(ゆっくりして、あるいは、のんびりとして)やträumerisch(夢見るように)などが使われ、この人物の性格を描写する。その後、妻の主題がsehr lebhaft(きわめて活発に)という発想記号で提示され,次いで、子供、そして叔母と叔父が登場します.切れ目なく第2部に移り,
第2部は子供が遊び、そして母親の子守歌に包まれて眠る様子が現されます.切れ目なく第3部に移り.
第3部では子供が寝る中、仕事をする夫と、妻の気づかいの様子が描写され,ここまで途切れなかった音楽が,次の第4部との間ははっきりと区切られています.
第4部に入ると、フガートの作曲技法により、両親は子供の教育方針を巡って喧嘩を始め,子供が泣くほどに激しいものとなりますが、やがて落ち着き、2人は歌を歌いますが,また高潮してクライマックスに至り,大管弦楽の効果が最大限に発揮され,賑やかな家庭生活が描かれて幕を閉じます.

ボージチは,こうした大規模な曲の扱いに習熟しているようで,まことに的確な指揮振りで,よく都響をまとめていました.特にフィナーレの盛り上げようは見事でした.


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