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武蔵野文化小ホール:エベーヌ弦楽四重奏団の名演 [音楽時評]

11月1日,武蔵野文化会館小ホールに,エベーヌ弦楽四重奏団を聴きに行ってきました.
とにかく,その素晴らしさにすっかり圧倒されました.

メンバーは.
第1 violin: Pierre Colombet
第2 violin: Gabriel Le Magadure
Viola:        Mathieu Herzog
Cello:        Raphael Mertin
です.パリではなく,ブローニュ=ビヤンクール地方音楽院在学中の1999年に結成されたといいますから,今年で12年目です.
2004年に難関で知られるミュンヘン国際コンクールで優勝し,併せて聴衆賞その他の賞を総なめして話題になったそうです.
これまでにウイーン楽友協会,アムステルダム・コンセルトヘボウ,ベルリン・フィルハーモニー・ホール,ロンドン・ウイグモア・ホール,さらにはカーネギーホールなど主要ホールを席巻しているそうです.2006年2007年ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンに来日しています.

今夜のプログラム・ノートによると,「洗練された美的センスと音楽性,柔軟な発想と冒険的かつ即興的なアプローチにより,古典的作品のみならず,現代曲からジャズまで,鋭敏な感覚で作品の本質に切り込む彼等の演奏は絶賛され,室内楽の新たなフアンを獲得することに成功している」「室内楽の未来を予感させる新世代を代表するフランスの若手実力派カルテットとして,世界の音楽シーンで注目を集めている」と紹介されています.彼等は,現在,改めてモーツアルトに熱い視線を当てているそうです.
こうした紹介に,少しも誇張がないことは,彼等の今夜の演奏が示してくれました.

今夜のプログラムは,
モーツアルト: 弦楽四重奏曲 第19番 ハ長調 K.466 「不協和音」
ボロディン:   弦楽四重奏曲 第2番 ニ長調
     ※※※※※※※※
ブラームス:   弦楽四重奏曲 第2番 イ短調 Op.51-2
でした.

まず,「不協和音」の序奏から,無造作にではなく,たいへん集中力を注いで,不協和音を1音1音丁寧に弾いてくれたのに驚きました.
彼等の演奏は「リズム・旋律・和声」が「音楽の三要素」ということを実に忠実に再現してくれるのです.リズムはそれとして,旋律と和声を常に丹念正確に演奏してくれました.いたるところで,こんな旋律があったのか,こんな和声があったのか...と実感させてくれるまことに素敵な演奏でした.
彼等が随所で新鮮さをもって示してくれる美しい旋律と和声に,とにかく感動しました.

それはボロディンの第3楽章のあの有名な優美な旋律が,実に見事に歌われて,ボロディンをたいへん新鮮な曲として提示してくれました.

とかく渋いことで知られるブラームスの短調の曲でさえ,その巧妙なまでの旋律と和声の引き出し方,歌わせ方がまことに新鮮で,これはこんな美しい曲だったのだという発見の連続でした.

これほど素晴らしい弦楽四重奏団が定期的に演奏会を開いてくれたら,音楽生活水準が一段と高みに上れるのではないかと感じさせる素敵なコンサートでした.

11月2日にはヤマハ・ホールでジャンルを跨いだ演奏会が予定されているようです.私はジュリアードを聴きに紀尾井ホールに行きますが,時間に余裕のおありでご関心の方にはお薦めです.


 


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