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フィリアホール:アルティ弦楽四重奏団演奏会 [音楽時評]

1029日,遠路を,青葉台のフィリアホールに,アルティ弦楽四重奏団の第7回定期演奏会を聴きに行ってきました.15時からのマチネーでしたが,客の入りは80%位だったでしょうか.
秋は芸術の秋ばかりではなく,スポーツの秋やら紅葉の秋でもありますから,無理からぬところでしょうか.ただ,来年は,今から128日という何かを思い出す日が既に第8回として予定されています.

メンバーは,もうご紹介する必要がないかもしれませんが,
ヴァイオリン: 豊島泰嗣,矢部達哉  第13曲を豊島が,第2曲を矢部が第1ヴァイオリン
ヴィオラ:     川本嘉子
チェロ:     上村 昇 
でした.いずれも,一流オーケストラでコンマスや首席奏者を勤めたり,ソリストとしての活躍も目覚ましい顔ぶれで,プレ・トークをやった奥田佳道氏は,日本最高の弦楽四重奏団と褒めていました.

プログラム・ノートで,相変わらず分かりにくい文章に加え,スペースの1/4を自分が業界の顔ききであることの宣伝に使った音楽ジャーナリストに取って代わって,奥田氏は,当日のプログラム3曲の共通点として,Andante cabtabileが挙げられること,4楽章構成を確立させた晩年のハイドンとそれを継いだベートーヴェンでは,いずれもOp.~の何番とあるのだが,両者とも同じ Op6曲書いた内の1曲であることなどが説明され,チャイコフスキーの場合は,生涯で3曲書いた中で当日演奏された弦楽四重奏曲第1番だけが,しばしば演奏機会を得ているといった聴き応えのある話がありました.

プログラムは,名曲揃いで,
ハイドン:      弦楽四重奏曲第79番ニ長調Op.76-5「ラルゴ」 Hob.79
ベートーヴェン:  弦楽四重奏曲第5番イ長調Op.18-5
チャイコフスキー;弦楽四重奏曲第1番ニ長調Op.11
でした.

「ラルゴ」は第1楽章でAllegretto-Allegroとテンポ変化を持った明るい3部形式,第2楽章が美しい旋律の「ラルゴ(カンタービレ・エ・メスト)」,第3楽章はメヌエット,終楽章の再現部では第2ヴァイオリンが活躍して目を引きます.ベートーヴェンでは矢部達哉が第1バイオリンを弾いて,優美な音を響かせていました.Op.18はベートーヴェンの初期の第1番から6番までの作品の5曲目で,第1楽章Allegro, 2楽章Menuette,のあと,3楽章Andante cabtabileが続き,田園風という指示のもと,5つの変奏曲が展開され,終楽章Allegro で,やや長いコーダで締めくくられます.矢部達哉がまさに適任だったとおもいます.

チャイコフスキーは,なんといっても第2楽章Andante Cantabile が柔らかで優美な演奏が強く印象に残りました.

アルティ弦楽四重奏団は,私が挙げる日本のトップ・クァルテット,東京クァルテット,ロータス・クアルテット,アルティ弦楽四重奏団,それに続くクァルテット・アルモニコといった団体で,特にチェロが欧米のクァルテットと並ぶレベルにありますが,その中ではアルティのチェロが少し引いた感じで,しかししっかり低音を支えて,弦楽四重奏の優れたアンサンブルを形成していました.
ぜひぜひ,今後も長―く続けて欲しい演奏集団です.

思えばカザルス・ホールのレジデント・クァルテットとして,漆原啓子が第1ヴァイオリン,豊島泰嗣はヴィオラを弾いていたのが思い出されます.
さらにその前には,巌本真理弦楽四重奏団,さらに遡れば,NHK交響楽団のコンサートマスターだった岩淵隆太郎が主催したプロムジカ弦楽四重奏団が思い出に残っています.


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