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サントリー:エッシェンバッハ指揮ウイーンフィル [音楽時評]

10月17日,サントリーホールに,ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団を聴きに行ってきました,ウイーン・フィルハーモニーウイーク2011ということで,選択肢は広かったのですが,ブルックナーに惹かれて,ブルックナーの「ロマンディック」中心のプログラムに絞って聴いてきました.
超有名ピアニスト,ラン・ランがリスト年に因んでピアノ協奏曲第1番を弾くプログラムがA,B,Cとあり,そのなかのAは,ラン・ランのリスト協奏曲とブルックナー「ロマンティック」という凄い組み合わせでしたが,それは横浜と広島で,東京ではその2つの組み合わせはなく,「ロマンティック」中心で,モーツアルトの比較的珍しい交響曲34番とを組み合わせたプログラムでした.

エッシェンバッハは,元々はピアノの名手として知られた人で,今回もモーツアルトのピアノ協奏曲 イ長調 K488から第2楽章を弾き振りし,加えてバリトンのマティアス・ゲルネを加えたマーラー:『少年の魔法の角笛』とシューベルトの「未完成」というプログラムがプログラムE,F とあり,今夜のそれはプログラムDでした.

なお,エッシェンバッハはフィラデルフィア菅のMusic Director(2003~2008)をパリ菅のMusic Derector (2000~2010) と兼任しましたが,フィラデルフィアでは地元紙のMusic critic と最初から折り合いが悪く,Community 関係を築けないまま,短期で退任したことが,現在のフィラデルフィア菅の破産状態の遠因となったといわれます.現在はワシントンのNational Symphony とKennedy CenterのMusic Director として活躍しています. 

今夜のプログラムは,
モーツアルト:  交響曲第34番 ハ長調 K338
          ※※※※※※※
ブルックナー:  交響曲4番 変ホ長調「ロマンティック」 WAB 104
でした.

今夜のプログラムは,オーストリアで用意されたモノを翻訳した,これこそプログラムという読みやすいモノで,しかも無料配布でした.先日の第1生命ホールのチャリティ室内楽も是非そうして欲しかったと思います.

モーツアルトの第34番はあまり演奏されない曲ですが,ザルツブルグからウイーンに移る前に書かれた曲で,あまり革新性の乏しかった土地のスタイル,急ー緩ー急の3楽章構成になっています.実際にはもう1楽章メヌエットが用意されたのに用いられず,ウイーンで書かれた次の第35番「ハフナー」から4楽章構成に拡充された端境期の作品でした.
最終楽章の後半で,オーボエがたいへん活躍し,オーボエ協奏曲の感じの内に曲が閉じられます.
たいへんオーケストラの五弦と木管が綺麗で,それだけでも楽しめる曲でした.

ブルックナーの第4番「ロマンティック」はウイーン楽友協会で初演され,ブルックナー最初の大成功を収め,その地位を確立したといわれます.
第1楽章冒頭にホルンが主題を吹きますが,これは教会で朝を知らせるラッパの響きを取り入れたモノといいます.ただ,ター(高),ター(低),ター(中)の終わりに入る転換点の音がちょっと不自然に響いたところがあり,ハッとしましたが,あとは全く文句なしの名演に終始しました.
エッシャンバッハはウイーンフィルとこの曲をレコーディングしたCDがロビーに並んでいましたから,エッシェンバッハはすっかりこの曲とウイーンフィルとの関係を手中に収めていたようで,後方から見ていても,両腕を大きく広げたすこぶる分かりやすい指揮をしていました.
プログラムに書かれていたブルックナーが弟子にこの曲について説明した言葉を引用しておきますと,「1楽章,第3楽章は戸外の偉大な自然に耳を澄ませているかのような雰囲気であり,2,第4楽章のほとんどの部分は,魂の内面をそのまま表現しているかのような音楽である」とありますが,何よりもその規模の雄大さに圧倒される音楽でした.
それをウイーンフィルとエッシェンバッハという貴重な組み合わせで,心から楽しめた一夜でした.

ウイーンフィルは回数が多かった故もあって,チケットが何とかなりましたが,ベルリンフィルは3回のうち2夜やるマーラーの第9を狙ったのですが,全然手が届きませんでした.
それで,4万円払うならと,代わりにBerlin Philharmony がやっているDigital Concert Hall に申し込みました.ほんのちょっぴり円高の恩恵にあずかって,フル画面で楽しめますから,マーラーの9番をこれから探します,

追記:ベルリンフィルの Digital Concert Hall を調べましたら,来日直前の11月5日に,来日準備の意味も込めて,マーラー交響曲第9番の Concert Hall からの放映が予定されています.
ただ,皆様に余りお薦めできないのは,時差の関係があって,深夜,午前3時からの開演となっていることです.
もちろん,暫くしたら,アーカイブに入るでしょうから,後で見ることも可能でしょうが,まあ,日本では,幸い,日曜日の早朝となりますから,私はチケットを首尾良く入手された皆さんより一足お先に楽しみたいと考えています.


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