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NHKホール:NHK音楽祭,ベルリン放送響,ヤノフスキー,河村尚子 [音楽時評]

10月12日,NHKホールに,NHK音楽祭2011「華麗なるピアニストたちの競演」第3夜,マレク・ヤノフスキー指揮,ベルリン放送交響楽団,ソリストに河村尚子というコンサートを聴きに行って来ました.

NHK音楽祭5夜の内,いち早く完売になったのは,アシュケナージ指揮,シドニー交響楽団,キーシン(pf)という組み合わせだけで,今夜も80~90%の入りというのは,NHK音楽祭も曲がり角というべきなのではないでしょうか.
今夜と同じ組み合わせのコンサートは,2日前にみなとみらいホールでも開催され,その1週間前には得チケ扱いになっていたのです.

今夜のプログラムは,まさに名曲揃いで,
ウェーバー:   歌劇《魔弾の射手》 作品77序曲
バートーヴェン: ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73 《皇帝》
       ※※※※※※※※
ベートーヴェン: 交響曲第3番 作品55 《英雄》
でした.

なお,長らく東ベルリンにあったベルリン放送響交響楽団は,2年ほど前に,ベルリン・ドイツ交響楽団(やはり放送交響楽団)との統合案が検討され大きな話題になったのですが,後者を吸収合併する形式に反発が高まり,取りあえずベルリンのふたつの放送オーケストラが併存することになっています.ちなみに両オーケストラは、ドイツ連邦共和国(35%)、ドイッチュラントラジオ(40%)、ベルリン州(20%)、ベルリン・ブランデンブルク放送(5%)が共同出資するROCベルリンという運営団体の傘下にあります.

《魔弾の射手》序曲は,前半は極めてゆったりとしたテンポで演奏され,途中からよく聴くテンポに代わってちょっとびっくりさせられました.
同じようなテンポの恣意的な動かしようは,後半の《英雄》でも見られ,かなり早い第1楽章にやはり驚きました.
テンポの恣意的な扱いは,きっとリハーサルでかなりそのために時間が割かれてしまって,どうもアンサンブルないし各パートの音の統一性が疎かになってしまっているようで,五弦をはじめ,複数の管楽器間でも音の澄んだ響きが聴かれませんでした.《魔弾の射手》の3本のホルンは,音を外しはしませんでしたが,3本が揃った美音を出してはいませんでした.
ただ,際だって上手かったのは,オーボエの首席でした.《英雄》では,この人の音が他の管楽器群からその美音を浮き上がらせて,よく響かせていました.

今夜の圧巻は,河村尚子でした,《皇帝》では,彼女のピアノがたいへん美麗な音を響かせて,オーケストラを圧倒していました.ここでは,流石に,ヤノフスキーも彼女のテンポに合わせていましたから,1楽章が始まってほとんど直ぐにピアノが入りますから,ほとんど河村尚子の独壇場になっていました.3年ほど前に,彼女が《皇帝》を弾きたいと語っていたのを覚えていますが,日本のオーケストラやヨーロッパのオーケストラで何度も弾き込んできていますから,本当に,奔放に楽しんで弾いていたように見受けられました.
なお,河村尚子は,アンコールに,シューマン作曲の歌曲をリストがピアノ用に編曲した「献呈」を実に見事な名演奏で聴かせてくれました.

今年は,先日私がブログで絶賛したトリフォノフはじめ,ベレゾフスキー,アンスネス,ゼルキン,ユジャ・ワンといった優れたピアニストを聴く機会に恵まれましたが,さらに河村の大先輩の内田光子がシューベルト最晩年の3曲のソナタを弾くのを聴く予定で,これをたいへん楽しみにしています.河村尚子は同じ3曲のうちの D 959をレコーディングしていますから,そのレベルを計ることが出来そうです.



 



 


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