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オペラシティ:ベレゾフスキー・ピアノ・リサイタル [音楽時評]

10月7日,オペラシティに,一昨日サンタ・チェチーリア菅のソリストを務め,ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を好演したボリス・ベレゾフスキーのピアノ・リサイタルを聴きに行ってきました.

ベレゾフスキーは超絶技巧と強靱なピアノ・タッチの持ち主で,2012年にはベルリン・フィルとの協演が予定されている傑出したピアニストです,
今年はピアノの名手だったリストの記念年で,リスト関連の音楽界が少なくありませんが,今夜は超絶技巧練習曲を含むプログラムでした.

プログラムは,
メトネル:   おとぎ話 6曲
ラフマニノフ: 前奏曲集(調性を異にした全10曲) op.23
       ※※※※※※※※
リスト:     超絶技巧練習曲集 S.139
でした.

メトネル(1880-1951)は,ラフマニノフとほぼ年代が重なるのですが,1921年からイギリスに亡命していたこともあって,これまで余り顧みられなかったモノが,近年,ピアニストのレパートリーに加わってきた作曲家で,ピアノ中心ですが,
調性音楽に踏みとどまった叙情と旋律美に溢れた作品を残しています.彼の死後,妻アンナが自筆譜をソ連に持ち帰って全集出版を果たして,ロシア人ピアニストによって積極的に取り上げられるようになっています.
「おとぎ話」はいくつも書かれているのですが,今夜は,作品番号を超えて,6曲がピックアップされて演奏されました.いずれも叙情味溢れる曲が,ベレゾフスキーによってたいへん旋律豊かに好演されました.なかに馴染み深い旋律が現れて感銘を受けました.

ラフマニノフは,平均律音階の24の前奏曲を残していますが,ひとまとまりではないので,今夜はop.23 の10の前奏曲(調整を異にする)が演奏されました.ラフマニノフらしく,大いにダイナミズムの加わった難易度の高い曲集でしたが,ベレゾフスキーのお得意の作品らしく,超絶技巧を交えて,たいへんダイナミックに好演されました.

最後のリストの超絶技巧練習曲集はやはり調性を異にした12曲ですが,ベレゾフスキーは1995-6年に既にレコーディングしており,本当に,両手が鍵盤を駆け巡る超絶技巧を要する曲集を,まったく自家薬籠中のモノのように,広いダイナミックレンジを使って,絢爛たる豪華さと豊かな叙情性を兼ね備えて,目映いばかりの名演奏を展開してくれました.

現代のピアノの大家の1人に数えられる名手だと思いますが,2夜にわたって,名演奏を楽しむことが出来ました.
次の来日の機会が待たれる逸材です.


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