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オペラシティ:ローマ・サンタ・チェチーリア菅演奏会 [音楽時評]

10月5日,オペラシティ武満メモリアルに,ローマ・サンタ・チェチーリア菅弦楽団のコンサートを聴きに行ってきました.指揮は音楽監督のアントニオ・パッパーノ,ピアノ共演者にボリス・ベレゾフスキーでした.

プログラムは,
プッチーニ:        交響的前奏曲
ラフマニノフ:        ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op.18
             ※※※※※※※
リムスキー・コルサコフ: 交響組曲「シェラザード」op.35 
でした.

ローマ.サンタ・チェチーリア管弦楽団は,1888年創設のイタリア最古のオーケストラで,最高のレベルを誇る名門オーケストラですが,私には初体験でした.指揮界の将来を担うイタリアきっての若きマエストロ、パッパーノが2005年に音楽監督に就任して以来,2度目の来日だそうです.

パッパーノはイタリア人の両親のもとにロンドンで,1959年に生まれていますから,イギリスでも重視され,ノルウェー歌劇場,ベルギー王立歌劇場(後任は大野和士)を経て,2002年からロンドンのロイヤル・オペラ・ハウス音楽監督の地位にあり,2005年からは,ローマ・サンタ・チェチーリア菅弦楽団の音楽監督を兼任している才人です.比較的背の低い人ですが,両腕を大きく上下に振って,たいへん大きな指揮をして,オーケストラの力をフルに発揮させていました.
ボリス・ベレゾフスキーは,1969年モスクワに生まれ,若くして1990年にチャイコフスキー国際コンクールで優勝し,世界的に活躍しています.

ローマ・サンタ・チェチーリア菅弦楽団は,たいへん明るい音を,まことにバランスの良い管弦楽の響きに乗せて,すっごく幅広いレンジで演奏する希に見るハイ・レベルのオーケストラでした.

プッチーニの交響的前奏曲は,比較的短い曲ですが,このオーケストラの素晴らしい音響にまず驚きました.

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は名曲中の名曲ですが,次のようなピアノの序奏から始まり,やがてオーケストラが

が入って盛り上がります.そして,耳に焼き付いてしまうような主題旋律がオーケストラで入ります.

このメロディは,この曲を1度聴いたら忘れがたいモノにしています.より抒情的な第2主題は、まずピアノに登場し,オーケストラに広がります.ピアノがオケに押されるようなところで,ピアノはかなり超絶技巧の演奏を目立たない形で展開していきます.
第2楽章では,ピアノのアルペジオに乗せて,木管楽器群が,甘美な旋律を歌っていきます.木管楽器群がたいへんな名手揃いで,この部分は誠に見事でした.
第3楽章では,循環形式で,前2楽章の旋律が繰り返し現れます.副主題をもつ変奏曲、あるいは変則的なロンドの形式になっています.最後のピアノのカデンツァの後にハ長調の全合奏で2つの主題が融合されて盛り上がるシーンは圧巻で、その後の軍楽的な、大見得を切たような終結部はラフマニノフ作品の典型的手法で、「ラフマニノフ終止」とも呼ばれるものです.

この曲のアンコールとして,この3楽章の終結部が,指揮者を交えて再演され,さらに続いた拍手喝采に,ベレゾフスキーが,曲の最後のピアノの「ダダダン」という部分を弾いて,やっと休憩に入りました.

「シェエラザード」というのは、極度の女性不信に陥っていた冷酷なシャリール王に、千一夜にわたって様々な物語を続けて、遂に王の心を開かせ、その妃になったという、周知の「アラビアン・ナイト(千一夜物語)」の女性名です.
この曲は,繋がりのない4つの物語を音楽化したモノですが,なんとなく甘美なメロディが淡淡と綴られています.メロディの美しさは抜群で,これも,1度聴くと忘れられない曲ですが,この多彩なオーケストラのchからを存分に発揮した名演奏でした.

イタリアのオーケストラの実力を大いに堪能した一夜でした.五弦も綺麗でしたが,金管,木管,そしてハープのそれぞれがたいへんな実力者揃いでした.


 


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