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武蔵野文化小ホール:ドビュッシー弦楽四重奏団 [音楽時評]

9月30日,武蔵野文化会館小ホールにドビュッシー弦楽四重奏団を聴きに行ってきました.なかなかバランスの良い優れた弦楽四重奏団でしたが,プログラムには若干疑問を感じました.

メンバーは,
第1Violin: Christophe Collette
第2Violin: Dorian Lamotte
Viola:       Vincent Deprecq
Cello:       Fabrice Bihan
でした.リヨン国立高等音楽学校で学ぶ学生によって1990年に結成されたとあります.

プログラムは,
G. タイユフェール; 弦楽四重奏曲
ドビュッシー:     弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10
            ※※※※※※※
モーツアルト(リヒテンタール編曲,ドビュッシー弦楽四重奏団補筆)レクイエム ニ短調 k.626
でした.

タイユフェールは,1882年生まれの女流作曲家で,パリ音楽院で学んだ後,ラベルの教えを受けていますが,弦楽四重奏曲は1917-19の作品ですから,ラベルの知遇を得る前の作品です.しかし,簡潔な3楽章構成の曲ですが,新古典主義的な色合いが濃く,たいへん分かりやすい曲でした.
この第1曲目から,チェロの素晴らしさに感嘆しました.お陰で,日本の弦楽四重奏団では滅多に聴けない素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれました.この曲は,もっと取り上げられて良い素敵な曲だと思います.

ドビュッシーの弦楽四重奏曲は,有名曲ですから,無駄な付言はしませんが,この作曲家の名を冠した弦楽四重奏団に相応しい,これぞドビュッシーという名演を聴かせてくれました.

ここまでは素晴らしかったのですが,後半の編曲され,この四重奏団によって補筆されたモーツアルトの「レクイエム」は,何故,この四重奏団が,このモーツアルトで溢れた東京界隈でこの編曲を取り上げたのだろうという点に,およそ合点がいきませんでした.編曲がレクイエムの旋律をなぞっているのはよく聴き取れましたが,これだけ音楽媒体の豊かな時代,その豊かさを十二分に備えた東京界隈で,数世代前の時代にモーツアルトを普及させようとした編曲作品を,せっかくの優秀な弦楽四重奏団にわざわざ弾いて貰う謂われは,全くないと思うのです.

プログラムの裏面に海老沢敏氏の「レクイエム賛歌」のコメントが1頁あり,その下に,海老沢敏コレクション「モーツアルト・レクイエム展」の宣伝が掲載されていましたが,そんなことのお付き合いでこの楽団にレクイエムの編曲,補筆を弾いて聞かして貰ったとしたら,この楽団にとっても,今夜の聴衆にとっても,今のはやり言葉で言う「やらせ」の押しつけというべきだと考えます.


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