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オペラシティ:アンスネス・ピアノ・リサイタル [音楽時評]

9月22日,オペラシティに,ノルウエー出身の優れたピアニスト,レイフ・オヴェ・アンスネスのピアノ・リサイタルを聴きに行ってきました.

アンスネスは1970年生まれといいますから,1980年代後半以降に生まれた次世代の傑出したピアニスト達のひとつ前のジェネレーションということになります.
確かなテクニックとしっかりした個性的演奏に支えられた,まことに見事な演奏を聴かせてくれました.

プログラムは,名曲演奏会といっていいほどのモノで,
ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調「ワルトシュタイン」
ブラームス:   4つのバラード 作品10
            ※※※※※※※※
以下オール・ショパン
バラード 第3番 変イ長調 作品47
ワルツ 第13番 変ニ長調 作品70-3
ワルツ 第7番 嬰ハ短調 作品64-2
ワルツ 第11番 変ト長調 作品70-1
夜想曲 第17番 ロ長調 作品62-1
バラード 第1番 ト短調 作品23
でした.

「ワルトシュタイン」は,ベートーヴェンのドラマチックなソナタの口火となった作品で,ワルトシュタイン伯爵に献呈されたことが,名称の由縁です.Allegro con brio; Introdutione, Adagio molto; Rondo, Allegrette moderato の3楽章構成ですが,最初もっと長い第2楽章だったモノを,両端楽章をつなぐ短い緩徐楽章に置き換えたといわれます.第1楽章から第2楽章は続けて演奏されますが,アンスネスはテンポの変化を明確にしましたから,この楽章が強く印象づけられました.第3楽章のロンドは,第1楽章よりややゆっくりしたしかし早いテンポで鮮明に演奏されました.
全体に,アンスネスが左手と右手のバランスを一定して明確にさせた好演だったと思います.

ブラームスのバラード4曲は短調,長調,短調,長調でしたが,その差異を明白に意識させてくれる,全体の構成を描き出した好演でした.

後半のショパンは,バラードに挟まれて,ワルツ4曲と夜想曲が並んで演奏されましたが,それぞれ親しみのある曲がくっきりと鮮やかに演奏されたなかで,なぜ,この曲順に並べたのだろうという疑問が残りました.

全体として,たいへん,1曲,1曲を鮮明に描き出した味わい深い名演だったと思います.
ブレンデルやポリーニらの大御所と,次世代の若手俊才をつなぐ世代として,今後,さらなる活躍を期待したいと考えます.


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