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サントリーホール:チャイコフスキー・コンクール・ガラコン [音楽時評]

9月8日,サントリーホールに14回チャイコフスキー国際Competition Winners' Gala Concert を聴きに行ってきました.出演者は,出演順に,

エレーナ・グーセワ(soprano)25歳ロシア;女声第3位,聴衆賞
セルゲイ・ドガージン(violin)23歳ロシア;Violin部門第2位(1位なし)
ナレク・アフナジャリャン(cello)22歳アルメニア;チェロ部門第1位,聴衆賞
ダニール・トリフォノフ(piano)20歳ロシア;グランプリ,ピアノ部門第1位,聴衆賞
でした.男声,女声の優勝者は韓国人だったのですが,日本のガラ・コンサートには不参加でした.

演目は,
グーセワ:チャイコフスキー歌劇「エフゲニー・オネーギン」より「手紙の場面」
ドガージン:チャイコフスキー,ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
アフナジャリャン:チャイコフキー,ロココの主題による変奏曲 作品33
トリフォノフ:チャイコフスキー,ピアの協奏曲第1番 変ロ短調 作品23
でした.おそらくは,いずれも本選会の課題曲だったのでしょう.
なお,協演のオーケストラは,高崎健指揮の東京交響楽団でした.

歌手については,最近の私はシューベルトの三大歌曲集とシューマンの歌曲集しか演奏会で聴いていないので,ここでは発言を控えます.

ドガージンのヴァイオリン協奏曲は,1位なしの2位だからいう訳ではないのですが,前回優勝者の神尾真由子のガリガリいうほどの個性的演奏を聴いているものですから,少し非個性的で,大人しく楽譜をさらっているという印象でした.

今夜,素晴らしかったのは後半の2人,チェロのアフナジャリャンと,なかでも特段に良かったのがピアノのトリフォノフでした.
アフナジャリャンは,音量が豊かで,しかも高音と低音の音質がまったく変わらないのです.つい先日,シャネルで聴いたモスクワ音楽院生のチェリストについて同じようなことをいいましたが,この特質は日本のチェリストの誰よりも上回っていると思いました.将来のチェロの世界を大きくグレードアップしてくれるのではないでしょうか.弦楽四重奏の世界でも,5~10年の内にはレベルが一段と向上することでしょう.それまで,既存の弦楽四重奏団はごく気軽に聴くことにしたいと考えます.

欧米で評判になっている20世紀からの画期的なレベルアップを既に実現して見せてくれたのが,ピアノのトリフォノフでした.彼は,素晴らしいテクニックをマスターしていますから,本当にピアノを存分に打鍵して,第1ヴァイオリン・セクション8人編成のオーケストラを,全然,圧倒していました,
これほどのチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の凄い演奏を聴いたのは,私には初めての経験でした.
凄い弱冠20歳のピアニストが現れたものだと,たいへん嬉しく思いました.

欧米のあまりの評判を聞いて,既に,彼の明日の紀尾井ホールでのリサイタルのチケットを買ってありますから,それがたいへんな楽しみです.ご関心の方には,当日券の有無を確かめられるようにお薦めします.


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