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朝日カルチャーセンター:河村尚子シューマンを奏でるー「フモレスケ」を中心にー [音楽時評]

8月88日,新宿の朝日カルチャーセンターに,公開講座;シューマンを奏でるー「フモレスケ」を中心にーを聴きに行ってきまた.演奏者は最近この曲をレコーディングした気鋭の河村尚子で,講師として音楽評論家,舩木篤也が参加していました.

河村尚子の演奏はフモレスケ(=英語でHumorから派生)を左手と右手のバランスを巧みに操りながら曲想を明らかにしていく素晴らしいモノでしたし,ドイツ,ハノーファー在住の河村がこの曲の楽譜にパリ郊外の古本屋で出会い,1.5Euro と未だ学生だった彼女にも買える値段だったったエピソードなどはたいへん興味深いモノでしたし,教材として配布された裏表の楽譜で,一部にト音記号ラインとヘ音記号ラインの中間に,Innere Stimme と記されたヘ音記号の中間ラインが加わり,ピアノ楽譜が3段になっている箇所の説明,とりわけ,クララ・シューマンが「このラインは弾く必要はない,Not to be played」と楽譜に明記していることなどなど...はたいへん興味深く聴けました.

しかし,舩木篤也がいただけなかったのは,この曲を1楽章の曲と紹介しただけで,一般に書かれているこの曲の5部ないしコーダを含めて6部構成の説明を,全くしなかったことです. 
1. Einfach: Sehr rasch und leicht/単純に,非常に早くて軽く
2. Hastig/いそがしく
3. Einfach und zart: Intermezzo/単純にかつ優しく間奏曲
4. Innig/親密に
5. Sehr lebhaft: Mit einigen Pomp. Zum Beschluss: Allegro/非常に活発に若干の壮麗さをもって
6. (集結)

つまりプログラムなしで曲を聴かされた訳ですから,最後の30分にわたった演奏を聴いていた方々が,ピアノ専攻の人たちは別として,時々「切れ目」が入るのに「何故?」と思われたのではないでしょうか?

私は何度もここのレクチャー・コンサートに参加していますが,およそ評論家講師は不必要で,むしろ演奏家自身に曲を自由に語らせるべきだと考えます.

その点では,五島みどりが自らのホームページで,演奏曲の解説を書き貯めているのは大いに見習って良いことだと信ずるモノです.

朝日カルチャーセンターは,その点では評論家+演奏家のレクチャーコンサート形式がほぼマンネリ化してしまっているようですが,今後,是非,旧態依然を改善して欲しいモノです.


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