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フィリアホール:クァルテット・アルモニコ演奏会 [音楽時評]

青葉台のフィリアホールに土曜ソワレシリーズ2011《女神(ミューズ)との出逢い》クァルテット・アルモニコ を聴きに行ってきました.このクァルテットを私は高く評価しているので,遠路遙々と出かけたのですが,期待を裏切らない好演を聴かせてくれました.

プログラムは,                                                       ハイドン:      弦楽四重奏曲第39番ハ長調op.33-3 「鳥」                            ツェムリンスキー:弦楽四重奏曲4番 op.25
               ※※※※※※※※                                                                             べートーヴェン:  弦楽四重奏曲8番ホ短調op.59-2「ラズモフスキー第2番」               でした.

今までは,このクァルテットはほとんど演奏者の誰かがプログラムを書いていたのですが,今夜はそうではなく,よく見る分かりにくい文章だったのですが,ホールの方針だったのでしょうか.       

ハイドンは,op.33 で6曲の「ロシア四重奏曲」の3番目だそうですが,第1楽章の第2主題が鳥のさえずりを思わせるところから名付けられたそうですが,ヴァイオリンの2重奏が綺麗に響いていました.第2楽章はベートーヴェン風のスケルツオですが,緩やかなテンポのメロディが流れるのでむしろメヌエット風です.第3楽章がAdagioの緩徐楽章でここでもヴァイオリンが綺麗なメロディを歌っていました.第4楽章はハンガリー舞曲風のロンドですが,ここにも鳥のさえずりが反復されています.   チェロもすっかり定着してきて,全体に4人がたいへんよいバランスに終始していて,心地よい好演でした.

ツェムリンスキーは,シェーンベルクの師に当たり,義兄にも当たるそうですが,彼自身は後期ロマン派にとどまっています.曲は亡くなった友人アルバン・ベルクの思い出に捧げられたモノで,思い出という意味か,前のテーマをふんだんに引用して,急ー緩ー急ー緩ー急ー緩の6楽章構成になっています.中ではチェロの少し長いソロで主題を歌って始まる変奏曲の第5楽章が印象的でしたし,終楽章が盛り上がって終わったのも,たいへん印象に残りました.

ベートーヴェンは名曲中の名曲で,op.59の3曲の真ん中の曲です.op.18の6曲より曲が室内楽の内容を交響的世界に広げて長大化させましたが,3曲の中では59-2はいくらか圧縮され,短調で,内省的なモノになっています.第1楽章は和音連打で始まり,断片的な旋律で第1主題が提示され,すぐヘ長調で繰り返される,この中期の作風が目立ちます.第2楽章は緩徐楽章で和声的な第1主題と律動的な第2主題が対照を生み出しています.                                         第3楽章Scherzoは,主部はリズミックで,中間部にロシア民謡が現れます.終楽章は,曲のホ短調に反して主題がハ長調で開始され,再現部でもいったん長調への解決が導かれています,第2主題はロ短調ですが,楽章はコンパクトで,コーダはPresto でテンポを速め,たたみかけるように盛り上げってホ短調で終わります.                                             なかなかの名演だったと思いますが,第1楽章が少しユックリ過ぎたのではという印象が残りました

なお,クァルテット・アルモニコは,私はJTアートホールとダブっているのですが,7月4日19時開演で,横浜市のサルビアホールで,今夜と同一曲目を再演しますから,ご関心の方はどうぞお出かけ下さい.

また次の機会をいっそう楽しみにしたいと思います.                                                          


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