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サントリーホール:ハンヌ・リントウ指揮,都響プロムナード [音楽時評]

4月24日午後,サントリーホールにフィンランドの指揮者ハンヌ・リントウ指揮の東京都響プロムナード・コンサートを聴きに行ってきました.

開演に先立って,バッハのアリアが演奏され,聴衆を含めた全員が30秒の黙祷をしました.東京都響としては4月の定期に次いでの黙祷でした.

リントウは,都響には2度目の登場だそうで,2013年からフィンランド放送交響楽団の音楽監督就任が決まっており,ヨーロッパ,アメリカの主要オーケストラにも客演を重ねてきた実力はです.特にフィンランドの作曲家シベリュースの指揮には抜きんでたモノがあります.

なおコルンゴルドのヴァイオリン協奏曲のソリストに来演する筈だったゾフィア・ヤッフェが,放射能汚染の広がりを懸念してか,来日を断念したため,わが国では数少ないコルンゴルドの協奏曲を弾いたことのある経験者ということで豊嶋泰嗣が代役に登場して,たいへん好演していました.

プログラムは,                                                       シベリュース:  交響詩「タピオラ」 作品112                                             コルンゴルド:  ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35  
                ※※※※※※※※                                                                         シベリュース:  交響曲第5番 変ホ長調 作品82                                 シベリュース:  交響詩「フィンランディア」 作品26                                                  でした.

まず,指揮者のリントウは非常に分りやすくしかもダイナミックな指揮をする人で,特に地元のシベリュースは得意とする指揮者と見受けられました.                               都響もこのリントウ得意のシベリュースに柔軟かつ的確に対応して,好演を反復していました.

交響詩「タビオラ」は,シベリュース最後の作品ですが,タビオラはフィンランド伝承叙事詩《カレワラ》の中の森の神タビオの土地を指すモノだそうです.若い頃はこの《カレワラ》のエピソードを扱った表題音楽を書いていたシベリュースが,長い中断を挟んだ最後の作品では,抽象化し象徴的に表現しているのが特徴的です.

コルンゴルドはウイーンで活躍しながら,ユダヤ系だったためアメリカ,ハリウッドに渡り映画音楽で名をなしますが,このヴァイオリン協奏曲は1937年の作品を1945年に校訂してクラシック音楽に回帰させた作品です.映画音楽と古典的協奏曲の調和した曲といえます.随所に映画音楽からの主題が見られ,ロマンティックな側面を持ち,第2楽章は美麗なカンタービレとなっています.終楽章は技巧をこらした華麗なフィナーレを形成して終わります.                           豊嶋泰嗣は,ソロを始めた当時はノミの心臓といわれ,名曲をそれほど名演しなかったのですが,指揮者も経験して,今日は,見違えるほど堂々とした好演を聴かせてくれました.

シベリュースの5番はたいへん有名な曲ですが,指揮者の得意な曲らしく,實に抑揚のついた表情豊かな曲として好演されました.フィナーレで6回のトッティで終わるところが象徴的に耳に残っています.

「フィンダンディア」はあまりにも有名な代表作ですが,これも實にダイナミックに各楽器を受け渡して,見事なクライマックスを作って終わりました.

都響のプロムナード・コンサートでは出色の出来だったと思います.


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