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芸術劇場:ノット指揮NHK響,ボゴオストキーナ(vn) [音楽時評]

2月20日,午後,東京芸術劇場に2011都民芸術フェスティバル参加公演,ジョナサン.ノット指揮のNHK交響楽団を聴きに行ってきました.ロシア生まれでドイツに移住したアリーナ・ボゴストキーナがViolin soloist として参加していました.2005年のシベリウス国際Violin Competirion で優勝して着実に芸歴を積んでいる俊英です.

プログラムは,                                                    アイヴズ:    答えのない質問                                               プロコフィエフ: ヴァイオリン協奏曲第1番 ニ長調 作品19                             ※※※※※※※※                                                                                     ブラームス:  交響曲第1番 ハ短調 作品68                                                     でした.

アイヴズは,トランペットの問いかけにフルート,オーボエなどが答えるのですが,次第にレスポンスが無くなって曲を終わります.面白い曲ですが,古代ケルト人の宗教を背景にしていると言うことです.

プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番は,3楽章構成ですが,第1楽章ではヴィオラのトレモロの上にソロがやや長い主要主題を提示し,続いて副次的主題が躍動感を持って現われます.展開部では激しい躍動があって再現部を経て静かに終わります.                           第2楽章スケルツオはABACAのロンド形式ですが,ソロのスタッカートで振幅の大きなモティーフが現われたり,1度から3度音程の小幅な弦のつま弾きが現われたり変化に富んだ中間楽章,そして第3楽章はモデラートの変奏曲形式で,Violin が主要主題を叙情的に提示し,ヴィオラが副次主題を提起しますが,主要主題の演奏が重ねられて,第1楽章の主題の再現があって,弱音の内に曲が閉じられます.                                                   第3楽章冒頭で,ソロ・ヴァイオリンの弦が切れて,その張り替えに数分間の中断があって,3楽章が再演されましたが,少なからず曲趣を損なったのがたいへん残念でした.                それでもアリーナ・ボゴストキーナが並々ならぬ才能の持ち主であることは理解できました.今後ますますの成長を期待したいと思います.

今日の白眉はブラームスの交響曲第1番でした.ベートーヴェンの第10番交響曲と呼ばれるほど,強い影響を受け,21年かけて完成された作品です.第1楽章は重々しい序奏で始まり,上行音階,下降音階が反復された後,ヴァイオリンが第1主題を歌い上げ,オーボエが第2主題を歌います.全体に荘厳な感じの楽章です.第2楽章はファゴットとヴァイオリンが主題を優美に響かせ,情感豊かな楽章が展開されます.第3楽章では,チェロのピチカートの上に,クラリネットが主題を演じる,優雅な楽章です.                                                   第4楽章では,ベートーヴェンのように歌唱は入りませんが,主部ではヴァイオリン群が荘重な第1主題を朗々と歌います.第2主題も音程の上下が大きいのですが,温和なメロディを響かせます.最後は盛り上がりを作って,荘重に曲が閉じられます.

たいへん説得力のある音楽の流れを,ノセダが暗譜で,N響の力を存分に発揮させて,ブラームスらしい構成力豊かな音楽を見事に歌い尽くしたと思います.名曲中の名曲ですが,これだけの好演奏は滅多に聴けないモノでした.

改めてN響の実力を実感させられた午後でした.   


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