オペラシティ:アンドラーシュ・シフ・ピアノ・リサイタル [音楽時評]
2月15日,オペラシティにハンガリーのピアニスト,アンドラーシュ・シフのリサイタルを聴きに行ってきました.3年ぶりの来日ですが,丁度,自分のご母堂と奥様の塩川悠子のご母堂が昨年末から今年初めにかけて亡くなられたそうで,その追悼に意を込めた演奏会と言うことでした.
今夜のプログラムはオール・シューベルトで, 楽曲の時 D780/op.94 第1曲から第6曲まで全6曲
即興曲集 D899/op.90 全4曲 ※※※※※※※※
3つのピアノ曲集 D946(遺作)
即興曲集 D935/op.142 全4曲
でした.
率直に言って,私には楽しめませんでした.シフのピアノが個性的で,これらの小曲集をそれぞれ独立のソナタの意気込みで弾いていて,第1にテンポが遅く,第2に放っておいても曲が豊かに歌ってくれるものを,シフがさらにシフ風に歌わせようとするからです,第3には,高音部と低音部の音が渾然一体と鳴らないで,高音が軽やかなのに,低音が太く重いのです.
テンポの遅さを考えないでプログラミングされた故か,19時始まりで終了は21時半でした.
シフの個性は尊重したいと思いますが,遡って言えば,何よりもプログラミング・ミスではないでしょうか.初日が紀尾井ホールでバッハの平均律クラヴィーア曲集 第2巻,2日目がオペラシティでシューベルトの小品集,3日目が再び紀尾井ホールでベートーヴェンの後期ソナタ3曲,第30,31,32なのです.
初日と3日目を考えると,2日目に,シューベルトの後期ソナタ3曲,第18,19,20をやっていれば,シフの個性がもっと十二分に生かせたとのではなかったかと思うのです.そしてこの3曲なら十分にオペラシティを埋め尽くしたでしょう.
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