武蔵野文化小ホール:スドピン・ピアの・リサイタル [音楽時評]
1月24日,武蔵野文化小ホールに,エフゲニー・スドピンのピアノ・リサイタルを聴きに行ってきました.1980年サンクトペテルブルグ生まれだそうですが,87年にサンクトペテルブルグ音楽院入学,90年からはベルリンで研鑽を積み,97年からロンドンに居住してエルトンに師事し,各地のアカデミーに参加した経歴の持ち主です.06年から欧米ツアーを行って好評を得て,幅広いリサイタルやオーケストラとの協演を重ねている逸材です.スカルラッティのソナタ集を皮切りに,CD でも高い評価を得ているといいます.
プログラムは, スカルラッティ: ソナタ ヘ長調 K.466 ソナタ ト長調 K.455 ソナタ ロ短調 K.27 ショスタコーヴィチ: 前奏曲 第2番 イ短調 Op.34-2 同 第6番 ロ短調 Op.34-6 同 第17番 変イ長調 Op.34-17 同 第24番 ニ短調 Op.34-24 ショパン: バラード 第3番 変イ長調 Op.47 バラード 第4番 ヘ短調 Op.52 ※※※※※※※※ リスト: 超絶技巧練習曲 第11番 「夕べの調べ」 ラベル: 夜のガスパール と多彩でした.
スカルラッティは,イタリア生まれで,教え子の王女の結婚についてイベリア半島に渡り,約600曲の鍵盤曲を残したといわれます.ここではテンポや調性を変えた曲が並べて演奏されましたが,出だしから綺麗なピアノ・タッチで,3曲をくっきりと浮かび上がらせてくれました.
ショスタコーヴィチの前奏曲4曲は,雰囲気はがらっと変わり,気分の異なる曲が,浅いタッチで見事に演奏されました.
ショパンのバラードは,完璧なピアノ演奏でしたが,ショパン特有の叙情性,即興性は,やや抑制された感じでした.
リストの超絶技巧練習曲11番は,曲集のなかでは最も叙情性に富んだ曲といわれますが,ただただその速い指運びや両手の交差などに見とれて聴いて,演奏に圧倒されました.
ラヴェル「夜のガスパール」の3曲,「オンディーヌ」「絞首台」「スカルポ」は,オーケストラ曲をピアノ曲にしてみたかったのだそうですが,その故かかなりの技巧を要求する曲でしたが,3曲をいとも簡単にあっさりと弾いてくれました.
プログラミングの意図がよくわかりませんでしたが,演奏のレベルはなかなか高度で,今年30歳ですが,これからまだまだ成長を続けるピアニストだという印象を受けました.
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