JTアートホール:ピアノ・トリオ2曲の演奏会 [音楽時評]
6月29日,JTアートホールに,練木繁夫「偉大なる芸術家の思い出に」を聴きに行ってきました. 出演者は,ピアノ,練木繁夫,ヴァイオリン,徳永二男,チェロ,堤剛 と大物揃いでした.
プログラムは,前半がドヴォルジャーク,後半がチャイコフスキーのピアノ・トリオ「偉大なる芸術家の思い出に」でした.
前半のドヴォルジャークは,まだチェコにいた頃の作品ですが,なかなか哀愁に満ちた名曲で,急ー急ー緩ー急の4楽章を,大家達が,しみじみと好演してくれました.なかでも第3楽章が美しい演奏でした.
チャイコフスキーの「偉大なる芸術家の思い出に」は,作曲者が自分を引き立て,援助を惜しまなかったニコライの死に接して作曲した名曲です. 2楽章構成ですが,最初チェロに現れる第1主題が個人を偲ぶのに相応しく哀感に満ちた美しいメロディですが,それが楽器間で受け継がれ,何度も繰り返されますし,農民の歌を基にした第2楽章の主題が次々と変奏されたあとに,再現して追悼の思いを確かめた後,静かに終わります. ここではチェロの響きがたいへん美しく心に染みるモノがありました.
JTアートホールが,若手にさまざまに演奏機会を提供しているほかに,こうした大家を揃えた演奏会を開いていることには大いに感謝したいと思います.
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