SSブログ

サントリーホール:インバル指揮都響プロムナード・コンサート [音楽時評]

久し振りのプロムナード・コンサートですが,何か東京芸術劇場シリーズ,「音楽家の肖像シリーズ」のような,ドヴォルザーク名曲集でした.

それにしても,都響の5弦の美しい音には改めて感心しました.前に定期会員だったNJP と較べて,低弦,チョロとコントラバスがきちんと揃った音を出していて,その上のヴィオラ,第1,第2ヴァイオリンまでが,たいへん澄んだ音を響かせていて気持ちよく聴けました.管楽器のうちの金管にはちょっとミスが耳に付きましたが,全体でカバーしていた感じです.

プログラムは,オール・ドヴォルザークで, 
序曲「謝肉祭」 作品92
ヴァイオリン協奏曲 イ短調 作品52  Vn;ラチャ・アヴァネシヤン(S.マルコヴィッチの代役)
          ※※※※※※※ 
交響曲第8番 ト長調 作品88
でした.

序曲「謝肉祭」からたいへん5弦が綺麗で,なかなか楽しく聴けました.

ヴァイオリン協奏曲は,三大コンチェルトには及ばないかも知れませんが,作品はなかなかの名曲です.予定のソリストが急な肩の故障で代わりにアルメニアから来日したラチャ・アヴァネシアンがソリストとして登場したのですが,1986年生まれの若手ながら,既にドヴォルザークをしっかりとレパートリーに加えていたようで,堂々と好演してくれました.        
曲は,かなり自由な形式で,Allegro ma non troppo の第1楽章は,第1主題の前半がオーケストラで後半が独奏ヴァイオリンによって展開され、第2主題なしで,テンポを落とした接続部で第2楽章に移ります.                       
第2楽章はAdagio ma non troppo で対照的な2つの主題によって進められる美麗な楽章,第3楽章はFinale: Allegro giocoso, ma non troppo で,ロンド形式,3つの主題による民族色豊かなフィナーレで,ドゥムカを含む哀愁を帯びた曲想をはらんでいます.
とにかく,1734年製というグァルネリを美しく鳴らして,構成力豊かに好演してくれました.
なお,アンコールに出身地アルメニアから選んで,      コミタス      :アルメニアンメロディ が抒情性豊かに演奏されました.

最後の交響曲第8番は,交響曲として決して第9番「新世界」におとらぬ名曲です.急-緩-急-急の4楽章構成ですが,随所に民族色に富んだ旋律が取り入れられて,抒情的に展開されます.特に第2楽章では詩的な自然描写的な旋律が展開されて内容豊富です.第3楽章はドヴォルザークの力点を置いた美しいメロディがじゅんじゅんと現わされます.
第4楽章は自由な変奏曲形式で,第1楽章の主題が変奏展開されるのに加えて第2主題も現れて展開され,緩-急-緩-急でテンポを上げてコーダを華やかに終えます.              
インバルの指揮棒が冴え渡った,まことに見事な好演でした.

今月のサントリー定期で,インバルお得意のマーラーの第2交響曲「復活」が演奏されるのが今から楽しみです.

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。