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第一生命ホール:ミロ・クァルテット+野原みどり [音楽時評]

6月5日,トリトンアートホール,第一生命ホールに,ミロ・クァルテット+野原みどり=ピアノ五重奏の午後,にブラームスとドヴォルザークのピアノ五重奏曲を聴きに行ってきました.

先週の金曜日に武蔵野文化小ホールで聴いたミロ・クァルテットに,ヴァイオリンと低弦のバランスが日本離れして低弦優位になっており,まるでリハーサルを聴かされたようだとブログに書きました.
今日はピアノが入ったので,まったく感じが違いました.それと第1曲目のブラームスのピアノ五重奏曲では先日第2ヴァイオリンだった山本サンディ智子が第1ヴァイオリンに回っていて,かなり音量豊かに弾いていましたから,チェロ,ヴィオラの優位はほとんど感じなくなっていました.

プログラムは,                                                                        ブラームス:    ピアノ五重奏曲 ヘ短調 op.34
            ※※※※※※※※   
ドヴォルザーク:  ピアノ五重奏曲 イ長調 op.91 B.155  
でした.

今日の演奏を引き立てたのは,ピアノの野原みどりさんが,あまりピアノを叩かないで,柔らかい音で巧に弦楽器を支えたことに尽きると思います.

ブラームス・ピアノ五重奏曲は,最初弦楽五重奏曲として作曲されたそうです.その場合ヴァイオリン2,ヴィオラ1,チェロ2の構成だったといいます.そして次にピアノ二重奏,つまり2台のピアノのための曲に書き換えられ,これは今日でもかなり広く演奏されているそうです.そこからクララの意見を取り入れて今日の姿のピアノ五重奏曲として作曲されたのは1865年といいます.                                                                This quintet is probably one of the ten greatest masterpieces in the chamber music repertoire. It is a big, muscular work for small forces, and has features in common with Beethoven's Quartet Op.95. In both compositions the finales have slow introductions followed by long, binary main sections, which lead into faster, lengthy codas. Thematic metamorphosis takes place in the first and third movements. The slow movement is rather difficult to sustain. ("The Piano in Chamber Ensemble" by Maurice Hinson, Indiana University Press)   
とあるように,主題は第1,第3楽章に現れ,緩徐楽章はかなり難しい演奏技術を要するそうです.終楽章はゆったりした序奏に始まって,長い主部が導かれ,スピードを上げて長いコーダで終わります.

ドヴォルジャークの五重奏曲は The piano part is fuller than in Dvorak's Piano Quartets. First movement exploits submediant in the recapitulation and coda. National dance characteristics are found in the second movement (Dumka) and in the Furiant, which takes the place of a scherzo. A radiant rondo concludes the quintet. Intoxicating melodies, vital rhythms, colorful scoring, and contrasts in mood are present in abundance.(出典:同上)
とあるように,自身のピアノ四重奏曲よりピアノの比重が高いそうで,民族舞踊様式が第2楽章Dumuka と第3楽章のスケルツオに代わる Furiant に豊かに取り入れられています.

昨日聴いたドヴォルジャークの弦楽五重奏曲が第3番でしたが,彼がヴィオリスとだったことが弦楽五重奏の方に創作意欲を割いたのだろうと思いますし,ブラームスが自身ピアニストであり,ピアニスト,クララと親しかったことが,弦楽五重奏曲から2台のピアノのための作品を経てピアノ五重奏曲に至らせたと思うと,私個人としてはやはりブラームス作品にいっそう心が残りました.

希望としては野原みどりさんが,例えばエマーソン・クァルテットや東京クァルテット,ロータス・クァルテットなどと協演して欲しいと思います.


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