サントリーホール:シャイー指揮ライプチッヒ・ゲヴァントハウス管 [音楽時評]
10月27日,サントリーホールにイタリア出身のリッカルド・シャイー指揮,ライプチッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を聴きに行ってきました.ヴァイオリン・ソリストにアラベラ・美歩・シュタインバッハーが出演していました.
とにかく今年聴いた外来オーケストラでも屈指の出来映えで,身体がゾクゾクするほどの名演奏を楽しむことが出来ました.
プログラムは, モーツアルト: ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調 K.216
Solist:アラベラ・美歩・シュタインバッハー
※※※※※※※※ マーラー: 交響曲第1番 ニ長調 「巨人」 でした.
モーツアルトのヴァイオリン協奏曲第3番は,第1ヴァイオリンが6人という小編成で,ソリストと協演したのですが,この小編成オケの管弦の透明な美しさにまず驚きました.これでモーツアルトのピアノ協奏曲を聴いたら素晴しいだろうと感じました. 余談になりますが,2009年日本音楽コンクール・ピアノ本選会のモーツアルトのピアノ協奏曲の伴奏があまりにひどくって,出演者への同情を禁じ得なかったのです.
アラベラ・美歩・シュタインバッハーのヴァイオリン(日本財団貸与の1716年製ストラディヴァリュース「Booth」)がまたこの上なく美しい音で,ゆったりとモーツアルトを端麗に弾いて,素晴しい名演を披露してくれました.これほど美麗なモーツアルトの3番を生演奏で聴けたのはたいへんな喜びでした.鳴り止まぬ拍手に答えて,クライスラーの「レシタティーボとスケルツォ・カプリース」をこれまた絶妙の無伴奏名演奏で聴かせてくれました.
後半の「巨人」も,何度も聴いていますが,第1楽章をとにかく静かにゆったりと始めて,次第次第に盛り上げていって楽章を閉じるまで,まことに細かな指揮をしていました.その構成力に驚かされました.それに続く第2楽章では,「順風満帆」と楽譜に書き込まれた通り,人生の花開くニュアンスの音楽が奏でられます. それが第3楽章で「座礁」して,各楽器の出しにくい音が一杯に広がるのですが,中間部にはオアシスが配されています. 第4楽章で,負の世界への挑戦に打ち克って,オーケストラ楽器の一斉の音響で,輝かしい永続的な勝利が歌われ,壮大なオーケストラの斉奏によって曲が閉じられます. シャイーは大きな構成力と細かな音造りの指揮で,この大曲を実に見事に名演奏してくれました.
これから日本全国を演奏旅行し,東京でも別にブルックナーをやるそうですから,ご関心の方にはお奨めです. とにかく改めてオーケストラの素晴らしさを堪能出来ました.シャイーとライプチッヒ・ゲヴァントハウス響にはもう一度心からの拍手を贈りたいと思います.
ドイツで学生の頃、一緒にピアノトリオを組んでいたチェリストが、
現在、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスでソロチェリストをしています。
拝読していて、私まで嬉しくなっていまいました。
私は実は一度もゲヴァントハウスを聴いたことがないのですが、
やはり、これは聴かねばなりませんね!
by いもがす。 (2009-10-28 05:00)
AugartenTrio のことをいっておられるのですか.それともそれ以前のことなのですか.
とにかく,シャイー,ゲヴァントハウスの組み合わせは素晴しいです.1度ぜひお聞きになることをお奨めします.
そのご感想などお聞かせいただけると幸いです.
by shoshino (2009-10-28 20:37)
そうです。Augarten Tirioで二度目に日本でコンサートをしたときのメンバーだったドイツ人です。友人の活躍というのは嬉しいものですね。
ドイツでも、良い指揮者と良いオーケストラの組み合わせのコンサートは、チケットを取るのが難しかったりするのですが、この次ゲヴァントハウスが近場に来たときは、ぜひ聴きに行きたいものです。
by いもがす。 (2009-11-02 08:42)