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何処へ行くのかサイトウ・キネン・フェスティバル2  [音楽時評]

前に「その1」に当たるブログを書いていますが,今年のフェスティバルが終わった時点で,その2を書きたいと思います.                                              私は,小澤征爾のショスタコーヴィッチ第5番「革命」,翌年のべルリオーズ「幻想交響曲」でその力量の限界を見て,それ以後,「世界の小澤」という空虚な宣伝に踊らされず,TV以外に小澤を聴いていないのです.

ここで取り上げたいのは,小澤が松本市を虜にしている点です.2009年の場合,サイトウキネン・フェスティバルは長野県から5,000万円,松本市から1億6,693万円の助成金ないし負担金を受け取っているのです.それが公式公演オーケストラ3プログラム7公演,室内楽5プログラム6公演中心に渡されているのです.つまり,室内楽公演を対等に並べても,2億1693万円を13で割って,1公演当たりほぼ1670万円を受け取っており,プログラム数で割れば1プログラム当たり 3100万円を受け取っていることになります.                                             サイトウキネンオーケストラ公演に限定すれば,プログラム当たり,実に7100万円を助成されているのです.

こんなフェスティバルと呼ぶにはあまりにプログラム内容が乏しい事業について,長野県の【事務事業評価・課題分析シート】を見ますと,2005年度で,                                                 満足度(判定/順位): C+ (5位/72)と満足度はまあまあとして,                                  重要度(判定/順位):  B   (68位/72)                                               税金使用納得度(判定/順位): B (69位/72)                                                                   と,重要度,税金使用納得度はおよそ最低に近いのです.                                     長野県にしても,松本市にしても,県民,市民の間には,税金使用納得度では納得しがたいモノがあるでしょう.

松本市の場合には,長野県との対抗心をくすぐった小澤征爾の甘言に乗って,1度も使われない4面舞台の松本市民芸術館を145億円の巨費を投じて建設し(直後の市長選で前有賀市長はお蔭で落選した)は,その維持費(運営財団に委託)に松本市は毎年約6億円を使っているのですから,クラシックと無縁な市民を合せた税金使用納得度はきわめて低いに違いありません.

こんなフェスティバルと呼ぶには余りにプログラムが少ない,およそ小澤征爾記念音楽祭に近いものを,小澤征爾はいったいいつまで続けるのでしょうか?

私は,小澤征爾は,才能だけでのし上がったというより,fearless entrepreneurs, ruthless networkers and shrewd publicists, with unflinching self-belief でのし上がった人だといったことがありますが,ここで私の主張を再確認しておきたいと思います.

それを前提して,来年から世界的には無所属,無冠になる小澤征爾(彼は遂に1度もウイーン国立歌劇場音楽監督の実務をこなしたことはなかったのに,厚かましくもそれを名乗り続けたのです)には,東京春の音楽祭とサイトウキネンが重要な出し物になるでしょうから,なかなか降りようとはしないでしょうが,今流行の県民,市民の目線に立って,あえて降りて貰うには,先に挙げた税金使用納得度の低さを根気強く訴え続けるほかないのだろうと思います.

そのとばっちりが他の自治体,例えば滋賀県その他に及ぶかも知れませんが,それはそれぞれに税金使用納得度の向上に辛抱強く取り組んで貰うほかないでしょう.勿論,撤退もひとつの選択肢であり続けるでしょうが!

もう1点考察が必要なのは,サイトウキネンが,元々は民間と地方自治体の資金を募って,12億5千万円をサイトウ記念財団が集め,その運用益で始められたはずのものだという点です.          最初は秋山和慶氏も加わっていたのですが,最初から,小澤征爾が自分に欠けていたオペラ歴を作ろうとして,初年度から独断専行したため,財団を2分する混乱に陥り,いつの間にかサイトウキネンはほとんど小澤征爾に私物化されてしまった経緯があります.
財団は初年度から大幅赤字に陥って,その後はなるべく単年度県,市の助成金,負担金に依存する方向に傾いたのです.

サイトウキネン財団の基金は,従って累増し,2008年時点では総資産約21億8600万円に達していたのですが.金融危機の影響を受けて,資金運用してきた23種類、総額計13億6500万円の金融商品に評価損が発生してしまったのです.しかし,これまでの運用益を考えれば,2,3年は評価損が出ても,フェスティバルの運営には支障は生じないといっています.

もしそうだとしたら,サイトウキネンは初心に返って,まずこのサイトウキネン財団の基金,資産の取り崩しを前提に,                                                 第1に,目茶苦茶高い入場料金を常識的レベルに引き下げ,                      第2に税金への依存はゼロにすべきでしょう.                              そしてこの財団の資産が底をついた時点で,「世界の小澤」の虚名に乗ってフェスティバルを私物化してきた小澤征爾にも諦めて手を引いて貰うというのが,時間の浪費になっても,やむを得ない穏当な終結方法ではないでしょうか!

 


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