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マリス・ヤンソンス指揮コンセルトヘボウ管弦楽団と内田光子 [音楽時評]

前日11月30日に,マリス・ヤンソンス指揮コンセルトヘボウ管弦楽団をサントリーホールに聴きに行き,今夜は連チャンで,上野文化会館に同指揮者,同楽団と内田光子を聴いてきました.
前夜が「新世界」と「春の祭典」,今夜は「モーツアルトのピアノ協奏曲第25番」と「マーラーの交響曲第1番『巨人』」でした.座席の位置にもよりますから一概にいえないでしょうが,サントリーの方が音が柔らかく響き,上野文化会館の方が,やや残響が短く音が堅めでしたが,もともとサロンでごく少数の聴衆を相手に演奏されていたモーツアルトの時代の音楽を聴くには,音が重ならず,澄んで聞こえるという意味で,そしてマーラーは大編成のオーケストラでモーツアルト時代よりずっと数多い楽器が合奏するのが残響で音が重なり合って濁らないという意味で,サントリーホールと上野文化会館の選曲は,それなりに良かったと思いました.もっとも12月1日の演奏会は12月3日にサントリーホールで繰り返される予定です.なお,内田さんは前日サントリーホールのコンセルトヘボウ演奏会に私より5列前の招待席に座って,アンコール2曲まで演奏会全部を傾聴されて楽しんでおられたようです.

私は今現在でヤンソンス,コンセルトへボウの組み合わせはベルリン・フイル,ウイーン・フィルに匹敵する最高水準にあると評価しています.「新世界」のような名曲中の名曲を,甘ったるく流すのではなく,堂々と大曲を聴かせるメリハリの効いた見事な演奏で堪能させてくれましたし,「春の祭典」はあのリズミ感をまことに鮮やかに描き出した名演でした.万雷の拍手に答えて,アンコールを2曲も聴かせてくれました.1曲はブラームスのハンガリアン・ダンス6番,2曲目はドボルザークに戻ってスラブ舞曲(番号は失念しました)でした.

内田光子はモーツアルトのピアノ協奏曲第25番を実に丁寧に演奏し,ヤンソンスの伴奏でオケともまことにピッタリ呼吸のあった名演を聴かせてくれました.今夏松本で聴いた小沢征爾との協演の「皇帝」よりずっと息のあった名演だったと思います.多分ご自分でも気が乗っていたのでしょうか,アンコールにベートーヴェンのピアノソナタ作品109の第1楽章をゆったりとしたテンポで凄く綺麗に弾いてくれました.この曲は私のBose製のCDステレオにブレンデル演奏のCDが入れてあって,目覚ましとしてこの曲で起こされるように設定してあるのです.
マーラーの「巨人」は久しぶりに聴く名演でした.各パートを十分に鳴らせて,各章ごとに見事な盛り上がりを作り出した好演でした.芸術劇場の開場記念にシノーポリ指揮,フィルハーモニア管弦楽団で聴いた名演を思い出しながら聴いていました.さすがに大曲の演奏後にはアンコールはありませんでした.
2006年のメイン・イベントは終わりましたが,2007年は今年に続いてダニエル・ハーディングが今度はロンドンフィルを率いて来ますし,ドイツで今もっとも注目されている成長株のティーレマンが,ミュンヘンフィルを率いて来日することが予定されており,まことに楽しみです.また,マーラーの指揮で有名なエリアフ・インバルが,早世したシノーポリに代わってフィルハーモニアを連れて来日し,マーラーの1,2,5,9番を聴かせるといわれるのも大きな楽しみです.


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